Nobless oblige

持てるものの、義務

『銀河鉄道の夜』宮沢賢治

銀河鉄道の夜

言わずと知れた宮澤賢治の名作童話。
毎年夏の文庫が出始めると、色々な装丁・表紙の本作が出て、思わず表紙買いしたりしてしまいます。
というか夏の文庫フェア大好きです。

宮澤賢治宮崎駿小林賢太郎も影響を受けた人物なので、
まぁその2人が好きな私は必然の様に宮澤賢治も好きなのです。

それはさておき、『銀河鉄道の夜』は孤独な少年ジョバンニと友人カムパネルラが銀河鉄道の旅をする物語ですな。
解説は大体ネタバレなので一応伏せる。

豊かなオノマトペや自然描写や天体への豊富な知識と表現。
賢治の魅力たっぷりな「銀鉄(略)」単に童話としてしみじみと読むのもいいですが、本当の幸(さいわい)についての幸福論、大切な人が居なくなるという死生観の話として読むのも一興。
大人になって色んな経験をすればする程物語の深淵が見えるようで何度も何度も読み直してしまいます。


宮澤賢治が作る、
コスモポリタン的な博愛や贖罪感や自己犠牲精神の感じられる物語は道徳観の育成に役立った気がする。


最後に銀河鉄道の夜でなんとも好きな一節を。

 

「カムパネルラ、
また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。
僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」
「うん。僕だってそうだ。」
カムパネルラの眼にはきれいな涙が浮かんでいました。

 

けれども本当のさいわいってなんだろうね。

国語の教科書で読んで以来久しい方はこの夏是非宮澤賢治作品に再び出会ってみてはいかがでしょうか。

ちょうど「グスコーブドリの伝記」の映画も始まりましたしね。観に行きたい。