Nobless oblige

持てるものの、義務

『友情』武者小路実篤

っくりいうと、うまく話がすすんだ『こころ』って感じの物語。
わぁざっくり。

ある男性がある女性を好きになって、親友に仲をとりもってくれと頼んだらその女性は親友の方を好きになってしまって、それに気づいた親友がどうしよう…


と迷うパターンは小説の筋書きとしてはこれまで数え切れないくらい使われたでしょうけど、それなりにドラマティックでどろどろな話なのにこんなに爽やかといえるような結末を迎えるなんて、やはり幸福論者の哲学者が書いた話だなぁと思った。

 

武者小路実篤、とても人間が出来た人だったんだろうなぁとしみじみ感じた。
大学の卒論の関係で武者小路実篤の『幸福とは』も斜め読みしたけど、まぁその人間の出来てること出来てること。


私もこうありたいと常に思えるような哲学者ですよ。

 

それはさておき、いつの時代も人が1番心狂わすのは恋なのね~。ってしみじみ感じた。
主人公が恋に悶える姿がもう読んでて恥ずかしい。

 

イタい。笑

でもこういうの誰でも経験あるもんだよねーって生温かく見守れる。

 

そして「友情と愛情どちらを取るか」って永遠のテーマですね。
『こころ』では悲しく完成された(と私は思っているのですが)ものが、『友情』では清々しく完成されてたと思いました。

 

見方を変えればこういう作品はちょっと退屈で、説教くさくて、真っ直ぐ過ぎで、ブルジョアな本だとも思う。


読む人の感性や状態によって大分読まれ方は変わると思う。

 

私は西尾維新しかり森見登美彦しかりBUMPしかり、なんだかんだ捻くれても疑っても「結局人間が好きだし愛が全て」って謳うようなものがとても好きなので、そういう答えをストレートに美しく実直に謳うこの作品も好きです。

 

 

ただちょっとあまりに眩しすぎるのでやっぱり私には『こころ』の方が合ってるかな。笑